※2020年1月に投稿されました。
この記事は
・カウンセリングってなに?
・カウンセリングってどんなことしてくれるの?
という方向けに書いた記事です。
カウンセリングとは
カウンセリングとはなにか?
この問いに簡潔に答えるためには、「目的」という観点からその定義について述べるのがってとり早いかと思います。
ただし、心理面接が、一般的に、クライエントとカウンセラーの二者関係によって成立するものであることから、それぞれの「立場」という観点をここに付け加えることで、その定義を考えてみたいと思います。
であれば、カウンセリングは、「目的を持ったカウンセラーとクライエントの面接 」というのが妥当でしょう。
両者にとっての心理面接の目的を述べると、クライエントからすれば援助される必要がなくなる状態に至ることであり、カウンセラーからすれば援助をする必要がなくなる状態に至ることだからです。
カウンセリングの位置づけ
それでは、「カウンセリング」という概念は一般的、あるいは、専門的にどのように位置付けられる言葉なのでしょうか?
その点について少し深掘りすると、カウンセリングの正体がよりその輪郭を明らかにします。
そのためには、カウンセリングと類似した言葉に「心理面接」という概念に注目したいと思うのです。
これらの用語は果たして、同じものなのでしょうか?
結論を述べると、「心理面接」と「カウンセリング」は同義の用語であると考えられます。
なぜなら、両者はどちらも問題を抱く健常者を対象としていると考えられるからです。
その理由をこれから肉付けしていこうと思うのですが、その前に、
以下を先に引用させてもらいます。
カウンセリング心理学(counseling psychology)は、すべての人々にとってよりよい成長と発展をめざすための学問である。この点、カウンセリング心理学もカウンセリングも臨床心理学も最終到達点は同じである
引用:カウンセリング心理学より
何が言いたいかというと、カウンセリングには、以上3つの学問が関連しているということです。
それとは同時に、その3つは似て非なるということも述べています。
で、それらの違いを考えると、そもそも、カウンセリング心理学と臨床心理学は、心理学の1つという意味で、「知識としての学問」という意味合いが強いが、カウンセリングは「実践技法としての学問」という点で分類ができそうです。
「カウンセリングは職人芸、カウンセリング心理学は科学と考えて良い」
引用:カウンセリング心理学より
以上を前提にすると、カウンセリングというのはカウンセリング心理学という科学に基づいて発展した実践法であると考えるのが自然な流れですが、ではカウンセリング心理学と臨床心理学はどのように異なるのでしょうか?
この点については、カウンセリング心理学が問題を抱く健常者を対象としていることに対し、臨床心理学は、健常ではない者、つまり、何かしらの症状を呈している者を対象としているという点で異なっていると言えます。
しかし、だとすれば、臨床心理士が行うカウンセリングでさえも臨床心理学を後ろ盾としていないのだろうかという疑問が生まれるのですが、どうやらそうではなさそうです。
病理性を持つクライエントを援助する場合、クライエントの病理や症状より彼らの人格に照準を合わせ『健康な部分』や『いまできること』に着目し問題解決を行おうとするものである
引用:カウンセリング心理学より
つまり、カウンセリング心理学を背景としたカウンセリングも、病理性のあるクライエントを支援するために用いられる場合があるということですね。
病理性を対象とするということは、専ら臨床心理学の分野なので、やはり、その知見が取り入れられている必要はあると考えられそうです。
また、ここで一度「心理面接」という用語に話を戻しますが、これまた類似した用語に「臨床心理面接」という用語があります。
両者の違いを言葉だけで考えるなら、臨床という言葉が「心理面接」という言葉の前にあるかないかだけだが、「臨床心理」とある以上は、臨床心理学を背景学問として発展した職人技と考えるのが自然です。
一方、臨床心理面接にそのような意味があるのであれば、心理面接は特に病理性ということを強調しているわけではないと考えられます。
要するに、心理面接はカウンセリング同様、問題を抱く健常者を対象とした実践技法だと考えられるのです。