心理学を学ぶ上で
統計学を避けて通ることはできないわけですが
その初学者向けに、この『統計的仮説検定』について解説記事を残してみることにしました。
僕が心理士なので、”心理学を学ぶ上で”と前置きしましたが、
統計学の基礎を身につけたいという方には参考になるかと思われます。
乞うご期待。
統計的仮説検定とは
ある者は、統計的仮説検定について次のように述べる
主観的にある事象の判断をしようとすると、人によって結論がまちまちになってしまう。そこで、誰もが確率論的に一致した結論を下すことができるようにすること
引用:心理学のためのデータ解析テクニカルブックより
問題にしている変数の母数に関する条件間の差の有無(母集団全体の一般的傾向として、2つ以上の条件のなんらかの値に差があるといえるか否か)などについて確率論的に判断するための分析のこと。
引用:本当にわかり安いすごく大切なことが書いてあるちょっと進んだ心に関わる統計的研究の本より
どうだろう?
わかっただろうか?
え?まだわからない?
では、そんなあなたのために、
僕がゴリゴリに咀嚼して、飲み込みやすいサイズに変えて進ぜよう。
畢竟するに、統計的仮説検定とは
『評価を下すんなら、基準を設定してその上で判断しようね』ってことです。うん。
え?
余計わからなくなったって?
かまととぶって次に進みます。
推測統計について触れておこうかな
では、もう少しこの統計的仮説検定について具に説明すべく
推測統計という概念に触れておきたい。
というのも、統計的仮説検定とは、推測統計の下位分類なのである
ということは
統計的仮説検定を理解するために、推測統計の考え方をまず理解する必要があるわけだってのがここでのメッセージ。
で、
推測統計とは、ある研究において、母集団から標本を抽出し調査することによって、推測しようとする方法のことをいいます。
母集団(population)・・・ある研究で検討しようとしている対象全体のこと
標本(sample)・・・母集団から抽出された一部の対象のこと
引用:本当にわかり安いすごく大切なことが書いてあるちょっと進んだ心に関わる統計的研究の本より
と、いうことは
ある研究を試みようとする際に、
母集団に、調査や実験を試みようとするなんてことはまずありません。
なぜか?
金がかかるからですね。(身もふたもねえ)
その上心理学は、人間の反応を縦断的かつ、横断的に調査し、
一般的な反応を捉えようとする学問です。
だとすれば
人間の反応はその時々の環境や状態によって変化するものであるため、
そのような反応を全て調査しようなんて何とも烏滸がましい話ですね。
そこで
一部を調査することによって、全体の性質ないし特徴を捉えようとする推測統計なる手法が存在するわけです。
なんですけども、
例えばある人が、事象Xについて何の基準も持たずにその母集団の一部を調査したとしても、極めて主観的な判断になることが考えられますよね?
そうすると
ある人が、同じ事象Aを同じ手順で調査しても、人によって結論が全く異なる可能性がありそうですよね?
そこで
確率論に基づいて判断基準を設定し、それによって共通した結論を下すことを可能にする方法が統計的仮説検定というわけです。