チック障害についてのまとめ記事です。
チック障害とは
チック症とは、本人の意思とは関係なく、突然体が動いたり、声が出たりすることが一定期間続く障害のこと。チックは小児によくみられるが、大抵は一過性であるとされる。一般的には、幼児期 (3〜4歳)から、学童期(7〜8歳)にかけて好発すると言われるが、大人になるにつれ自然に治癒する傾向がある。しかしながら、大人になっても症状が持続したり再発したりすることもある。
症状
チックの症状は、
①運動性チック、②音声チックがあり、持続時間によって③単純型、④複雑型に区分することができる。動作の種類と、持続時間でマトリックスを作ると以下の通り。
チックの症例がYou Tubeにアップされていたので拝借させてもらった。こういう動画は理解を促進してくれるので大変ありがたい。
診断
『DSM-5』によれば、診断分類は、以下の5つ。
①トゥレット症候群(音声チックと運動チックがともに見られる)
②持続性(慢性)運動または音声チック症/持続性(慢性)運動または音声チック障害(どちらか一方)
③暫定的チック症/暫定的チック障害(出現するかもしれない・・)
④他の特定されるおよび特定不能のチック症群(出現の仕方や発症年齢が不規則)
上記の診断分類によらず、4つすべてに共通する診断基準が3つ。
・発症が18歳以前であること
・物質の生理学的作用(例:コカイン)または他の医学的疾患(例:ハンチントン病、ウイルス性脳炎)によるものではないこと
・一度ある階層レベルのチック症と診断されると、それより下位の階層の診断がなされることはないこと
⑤特定不能のチック症/特定不能のチック障害
原因
チック障害の原因には、主に身体的要因と、環境的要因の2つが関わっていると考えられている。身体的要因は、遺伝的要因と生理学的要因に分けることができるが、例えば、低出生体重、妊娠中の母親の喫煙との関連があげられる。
環境要因においては、不安や興奮など激しい疲労によりチック症は悪化し、そうでない環境では安定するため、ストレスの関連があげられている。また、ドパミン遮断作用薬の効果があることから、脳内の神経伝達上、何らかの障害も指摘されている。
介入・治療
チック症や吃音には、条件静止法における負の練習が有効と言われる。これは行動療法に基づくもの。
チックの薬物治療については以下を引用させていただきます。
一部の患者ではクロニジン0.05~0.1mg,経口,1日1回~1日4回が効果的である。有害作用の疲労によって日中の投与が制限されることがある;低血圧はまれである。抗精神病薬が必要になることがある(例,リスペリドン0.25~1.5mg,経口,1日2回,ハロペリドール0.5~2mg,経口,1日2回または1日3回,ピモジド1~2mg,経口,1日2回,オランザピン2.5~5mg,経口,1日1回)。フルフェナジンもチックの抑制に効果的である。いずれの薬剤も,チックを許容範囲内に抑えるのに必要な最小限の用量で使用し,チックの軽快とともに用量を漸減する。不快気分,パーキンソニズム,アカシジア,遅発性ジスキネジアなどの有害作用はまれであるが,抗精神病薬の使用を制限する要因となる場合がある;日中の用量を少なくし,就寝時に多めにすることで,有害作用を軽減できることがある。
引用:MSDマニュアルより