ナラティブ・セラピーについてのまとめ記事です。
ナラティブ・セラピーとは
ナラティブ・セラピーは、家族療法を起原に、1980年代後半から複数の国々に興った一群の心理療法の総称。
米国のアンダーソン(Anderson.H)らと、ニュージーランドのホワイトとエプストン(White,M & Epston,D)らに代表される。
ナラティブ・セラピーでは、自己について語ることが自己を構成するという、社会構成主義的な自己論に立脚し、新たな語りを生むことが、新たな自己を構成することに通じるとみなします。
”無知の姿勢”
ナラティブセラピーの中でも、特にクライエントとセラピストの協働的な関係を強調するのが、アンダーソンのアプローチである。ナラティブセラピーでは、問題の浸透しているストーリーとは異なった、それにとって代わるストーリー(オルタナティブ・ストーリー)を構築することが主眼に置かれる。
そして、そのためにアンダーソンがセラピストに勧める態度が、”無知の姿勢”である。
心理士や医師などの専門家は、ひとまず自分の知識を横に置き、
”クライエントこそが自身の問題の専門家であり、セラピストは、クライエントに教えを請うべきだと考える姿勢”のことをさす。
問うことの力
これに対し、ホワイトとエプストンのアプローチは、オルタナティブ・ストーリーの構築のために、クライエントに対して発する様々な問いに特徴がある。
彼らは、クライエントが抱えている問題と、クライエントその人とが一体化している状態を切り離そうとして、問題の外在化を図る問いを発し、その上で、オルタナティブストーリーを構築することを目指す。
まとめ
以上の2つがナラティブセラピーの代表例ではあるが、
”物語性の中核的位置付け”、”専門性の相対視”、”言語そのものの重視”という点が、ナラティブセラピーの共通理念と言える。