ども。心理士(紛い)のやまだです。
前々回より始まりました、家族療法派閥シリーズ第3弾です。
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で、本エントリーでは「多世代派家族療法」を深掘りならぬ、浅掘りしてみたいと思います。
では参りましょう。
多世代派家族療法とは
多世代派家族療法は、どうやら家族システム論と精神分析の掛け合わせというイメージをもつとよさそうです。
なぜならこの理論は、精神分析の影響を強く受けているため、家族メンバーの力動性を重要視するからです。
分化と融合の概念から、個人内・個人間システムを説明するのが特徴ですが、この辺に精神分析的な考え方が反映されてる感ありますね。
この派閥では、ジェノグラムを用いて家族投影過程や多世代伝達過程の情報を集め、その情報に基づいて家族関係を変化させることを目指します。
発達段階を追うあたりも精神分析を匂わせてます。匂わせです。
心理士は、客観的に家族構造に参加し、家族成員の分化を促し、家を変化させることを目指します。
多世代派において問題があるとされる家族モデル
多世代派では、生まれ育った家族から自己分化していない家族メンバーが家族の遺産や見えない忠誠心に拘束され、親世代から譲り受けた問題を何度も繰り返すような場合に問題ありと見なされるようです。
イメージとしてはこんな感じですね。
これを正しいと思うかはあなた次第
①父から子への質問
②子から父への返答(しようとする)
③母が遮る
④父が母に怒り喧嘩になる
という第一世代のシステムを第二世代でまるっと継承してますよね?
この派閥において心理士は、自己観察能力を身につけ、反動性を減じるための働きかけ、見えない忠誠心を認めることにより、原家族からの固体化を目指します。
ここでは、全メンバー等分にそれぞれを積極的にひい気する「多方面への肩入れ」などが使われます。
これは一人一人の存在意義の確認がされ、過去の傷つきや不公平感を癒すためだとされます。(byボソルメニィナージ)
この「過去の傷つき」ってのもまた精神分析らしいですね。
多世代派で用いられる用語
- 融合・・・自他の区別が危うくなる状態。もしくは自我境界が不鮮明になる状態。例えば、感情的・知性的にどの程度親子が別人格として分かれていないかというその程度のこと
- 固体化・・・個人として自己を認識すること。アイデンティティが確立している
- 自己分化・・・原家族から固体化していくプロセス。家族内の情緒的問題を客観的に捉えられる。例えば親子関係で、感情的・知性的にどの程度親子が別人格として分かれているかその程度のこと
- 情緒的遮断・・・原家族からの自己分化がうまくいっていない状態。情緒的に巻き込まれないように交流を避け自立しようとするもの
- 核家族における感情システム・・・原家族における感情のレベル。両親の自己分化度が低いと未分化な子供として成長する
- 三角関係化・・・不安定な二者関係の維持のために第三者を巻き込むこと。どちらかの未分化度が低いと、融合を求め三角関係化が起きる。
- 家族投影プロセス・・・両親の自己分化のレベルが子供に伝わっていくプロセスのこと。母の分化度が低く、子と融合していると、子供の分化の機会を妨げることになります
- 多世代伝承プロセス・・・多世代を通して伝承される未分化度のプロセス。親子が融合関係にある場合、子の分化度は低いかもしれない。その子の分化度は、孫の分化度に影響を与え、その過程は代々続いていき、その集積された結果によって、病理が生まれる。
- 公平さ・・・親密な関係の基礎となるギブアンドテイクのやりとり
- 忠誠心・・・家族や集団をつなぐ見えない期待による絆
- 見えない忠誠心・・・両親が異なる要求をし、忠誠心が分裂し片方の親を裏切る罪悪感
最後に
多世代派の考え方を取り入れいた理論には、次のようなものがあるようです。
ほんと色々あってわかりづらいですね。
もしポジショントークならやめていただきたいところですね。使いこなせるやついないから。
多世代派の掘り下げは以上です。
次回は、「精神力動的家族療法」です。(多分)