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機能分析とは

機能分析とは

一般的に応用行動分析内で用いられることが多い、”機能分析”についてまとめてます。簡単に言ってしまえば、人の反応の意図や目的を明らかにしようとする分析手法のことだ。

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機能分析とは

機能分析という概念を理解するために、まずその定義を明確にする必要がある。しかしながら、心理学のような学問では人によって定義が同じではないため、いくつか定義を比較しながら紐解くことにする。

まず、東京大学大学院出身の下山教授は、

機能分析の考え方の基本には、行動療法における行動分析があります。行動分析では、問題行動(反応)が起こるきっかけになること(刺激)と、その行動が起こった後に生じること(結果)を整理し、刺激と反応と結果という三者の関連性について分析します。これに対して、機能分析では個人の反応の仕方、すなわち「行為的ー動作的」反応、「認知的ー言語的」反応、「生理的ー身体的」反応を分析した上で、3種類の反応同士の関連性を検討し、問題を維持させている悪循環を明らかにすることが重視されます。

(引用:よくわかる臨床心理学,p65)

と、このように機能分析を述べている。前半部分にある”刺激と反応と結果という三者の関連性”という部分は、三項随伴性(ABC分析)のことを言っているのであろう。そして、そのBの部分すなわち”行動(反応)”について①「行為的ー動作的」②「認知的ー言語的」③「生理的ー身体的」という3つの視点から分析を行おうというのが、この定義の要点であると考えられる。

一方、京都大学大学院出身の伏見先生は、

機能分析とは、発話の、「刺激性制御」、「反応型」、「強化」を分析することであり、言い換えれば、「どのようなときに、誰に、何について」(刺激性制御)、「どのように」(反応型)、「なんのために」(強化)、発話するのか、という枠組みで言語行動を捉えようとすることである。

(引用:応用行動分析学入門,p40)

このように定義している。刺激制御・反応型・強化という部分がこちらも三項随伴性のことを指しているという点と、反応(言語行動)を捉えようとしている点で、下山教授の定義と一致しているが、その反応を”言語行動”と絞っている点と、その反応(B)を、弁別刺激(A)と強化(C)という観点から分析しようという点で異なっていると考えられる。

これはあくまで僕の解釈だが、この2つの定義を図にしたのが以下。

機能分析の定義

以上のように、分析観点が異なっているが、それもそのはず。それぞれ前提が異なっているからだ。そう考えると、これらの定義を比較すること自体ナンセンスな気もするが、とにかく、機能分析の位置付けは、両者の定義に共通する部分である。

三項随伴性について詳しく知りたい方は↓↓こちら

三項随伴性(ABC行動分析)とは

であれば、どちらの視点をこのエントリーで掘り下げるのか?という話になるが、ここでは伏見先生の視点を採用、つまり、言語行動(コミュニケーション)に焦点を絞ることにする。

機能分析の例

伏見氏は、「あいさつ」というコミュニケーションを取り上げて、機能分析の例を説明している。

例えば、「こんにちは」という言語行動は、「知っている人にその日初めて会ったとき」(刺激性制御)、「”こんにちは”という音声で」(反応型)、「相手から微笑みや反応を引き出すために」(強化)、なされる、というように分析することができる。

(引用:応用行動分析学入門,p40)

このように、発話(行動)の意図や目的を捉えようとすることこそが、機能分析だと言える。

要求言語(マンド)と叙述言語(タクト)

このような日常の発話についてその機能を分析すると、大きく要求言語(マンド)と叙述言語(タクト)の2つに分類することができる。

マンドとタクト

要求言語(マンド)とは

まずは、要求言語(マンド)について解説する。伏見氏によれば、

要求言語(マンド)とは、特定の強化刺激が与えられたり(正の強化)、与えられた嫌悪刺激がなくなる(負の強化)ことにより増加する言語行動である。

(引用:応用行動分析学入門,p41)

と定義されている。

我々の日常からマンドの例を考えるなら、以下のようなものがあるだろう。①が正の強化であり、②が負の強化となる。

マンドとは

正の強化と負の強化について詳しく知りたい方は↓↓↓こちら(内部リンクの設置)

【6/11(火)更新】心理学の学習者向けにオペラント条件づけとレスポンデント条件づけの違い及び、それぞれの条件付けについて詳細をまと...

したがって、この時のB(行動)に位置付けられる、「リモコンとって」や「キャー」という言語は、要求であり、すなわち”マンド”である。そして、マンドには次の様な分類が存在する。

呼びかけ

呼びかけとは、相手からの注目によって強化されるマンドのことを言う。例えば、毎日7時に夕飯が食べれる家庭で、7時になっても夕飯が出てこないとする。そのため、子供はお腹が空き、母親に”ごはん”という要求をしようとするが、その前段階として、母親の惹きつけを行うために、「ねえねえ」と呼びかけるのである。これにより、母親は子供の方を向き、この「ねえねえ」というマンドは強化される。

質問

これですね。これこれ。


質問は、回答が得られることによって強化されるマンドのことを言う。あなたが”りんご”という言葉の意味を知らなかったしよう。にも関わらず、あなたの周りにいる人達は、”りんご”という言葉を多用してくる。この様な場面であなたはどうするだろうか?おそらく、「りんごとは何ですか?」と質問を投げかけるのではないだろうか。すると、その中の誰かが「りんごは、赤くて丸くて甘い果物の1つです」と回答を得ることができる。これにより、「りんごって何?」というマンド(質問)は強化される。

ただし、この”回答”という強化子は、さらに細かく分類され、”知識・情報獲得のため”、”回避のため”、”攻撃のため” etcの様に複数存在すると考えられる。

助言と警告

助言と警告とは、マンドの聞き手が正や負の強化を受けるマンドのことを言う。例えば、スマホを探してる人に対して、「いすの下にあるよ」と教えてあげたとしよう。これにより、探し手は、スマホを発見することができたので、聞き手(探し手)は、スマホを無くした時に、”イスの下を探すという行動”を強化をされている。その結果、話し手も聞き手から「ありがとう」と返礼を受け、「いすの下にあるよ」というマンドが強化されるのである。

複雑なマンド

以上がマンドの大まかな機能分析となるのであろうが、これらは、条件性強化刺激と確立化刺激の理論に基づいているため、その理解を深めたい方は↓↓リンク先の記事参照のこと。

心理学で用いられる”強化子”についてこのエントリーでは掘り下げてみます このエントリーは、スキナーのオペラント条件づけ...

叙述言語行動(タクト)とは

次に、タクトについての説明に移る。タクト(叙述言語行動)とは、弁別刺激である外界の事物による刺激性制御を受け、般性強化刺激によって強化される言語行動のことをいう。例えば、Aさんが、”空を”を見て、「飛行機雲だ」といい、それを受けてBさんが「そうだね」と答えるときの、「飛行機雲だ」の様な発話はタクト(叙述言語行動)である。

タクトの特徴

タクトには2つの特徴がある。第一に、タクトは、弁別刺激が”非言語”であるという特徴がある。つまり、視覚情報以外にも、外を歩いている時に、”焦げくささ”に気づき、「キナ臭い」と発話することや、ラーメンを食べて「美味い」と発することもタクト(叙述言語行動)ということになる。

第二に、タクトは、話し手が適切なタクトを自発さえすれば、聞き手はいつでも強化することができるという点にある。これは、マンドと比較すると分かり易い。マンドの場合、一次性強化子を用いて、対象者の自発行動を強化しようとする場合、その人が摂取制限を受けているか否かに強化力が依存する。そのため、いつ何時も強化できるというわけではない。

タクトの分類

続いて、マンド同様に、タクトの機能分類をここでしておかねばならない。タクトの基本となるのは、”命名”だがこの詳細については伏見氏の言葉を拝借しておく。

 「命名」(naming)は、最も単純な叙述言語行動である。子どもが犬を見て「犬」と言うのは、命名である。命名行動は多様である。事物、事物の知覚的特性、行為に対応する命名として「犬」、「白」、「走る」などがあり、事物の関係性に対応する命名として、「同じ」、「大きい」などがある。

「ポチが餌を食べた」のような複数語文は、命名の混合体であり、「記述」(description)と呼ばれる、「ポチ」、「餌」、「食べ」の部分は、それぞれ単純な命名である。また、「が」、「を」は、主体と客体の関係性に、「た」は事物の目撃と発話の時間関係性に対応する特殊な叙述言語行動である。また、語順もこの様な特殊な叙述行動の一つである。

(引用:応用行動分析入門,p53)

返答

弁別刺激を提示した者が、発話者の反応に対し、同時にそれを強化する一連の過程を経る際に発話されるタクトのこと。例えば、Aさんが「あれ何?」(弁別刺激)と質問し、Bさんが「鉛筆」と返答(タクト)し、Aさんが「そうだね」と強化する一連の流れがそれ。

返答

報告

報告とは、報告を受ける者が事物を目撃しておらず、かつ、報告を受ける者がその事物に興味や関心がある場合に、話し手が行うタクトのこと。下表の様な例があるが、定義後半の、「報告を受ける者がその事物に興味や関心がある場合」という部分が重要。なぜなら、報告の受け手がキムタクに興味がなければ、「へ〜」や、「ふーん、それがどうしたの?」という様な反応になるかもしれない。すなわち、その反応は、話し手のタクトを強化しないのである。(それで強化される様ない人も稀にいるが・・・)

報告

告示

告示とは、通常とは異なる状態におけるタクト(命名や記述)のことを言う。例えば、先月までは空き地だった場所に、今月から新しいコンビニができて、そのことについて「コンビニができた」というタクトは告示ということになる。ちなみに、タクト発話者が聞き手としての行動を獲得していれば、告示は会話を開始する機能を持つとされる。

告示

文脈を十分に考慮する

以上、マンドとタクトの機能分類を解説してきたが、実際は、当然ながら文脈を考慮する必要があるので、慎重に分析を行わねばならない。

コミュニケーション行動の機能的分析においては、例えば、「椅子」を椅子を意味することばとしてだけ捉える様なことはしない。食卓で食事をしようとする人が言ったのなら”要求”であり、立って本を読んでいる人に対して言ったのなら”助言”であり、質問に答えて言ったのなら”応答”である。椅子は「椅子」と言う反応型を制御しているかもしれない。しかし、「椅子」と言うか言わないか、あるいは、「机」ではなく「椅子」と言うことを制御しているのは、食卓の料理、椅子への指さしと共に発せられた「これ何?」という質問であったりする。これらは「文脈刺激」(contextual stimulus)としてまとめることができる。”要求”か”助言”か”応答”の様な言語行動の昨日は、「椅子」という反応型からだけでは判断がつかない。聞き手は文脈の刺激によりその機能を判断して対応する。また話し手は、「ちょうだい」、「どうぞ」、「です」などの文脈刺激に対応する反応型により発話を修飾する。

また、「椅子がこわれている」という文であっても、自分が今座ろうとした椅子がこわれていることを発見したときに言ったのなら、それを使わないということを表明する「拒否」であり、こわれている椅子に座ろうとしている人に向かって言ったのなら「警告」であり、座ろうとする人がいない時にこわれている椅子を見て言ったのなら「告示」である。

(引用:応用行動分析入門,p56-57)

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