※この記事は2022年3月に更新されました。
この記事は
- 家族システム論ってなに?
- どういう考え方?
- システム論と何が違うの?
という疑問を持たれている方向けに発信しています。
ちなみに、このエントリーは、↓↓の記事の続きとして書かれていますが、この記事単体でもわかるように書いてます。
目次
家族システム論とは
その名の通り、「家族」を「1つのシステム」として捉えようとする考え方のことです。
システム論の中心的考え方については、過去のエントリーで詳しく述べているのでそちらを参照していただくとして、あえて繰り返しますが、家族は1つの「システム」なのです。
なぜなら、家族には、システム階層性があり、サイバネティクスに基づいた相互作用もあり、それゆえに円環的因果律の見方も適用可能であるからして、家族とはやはり「システム」なのです。
で、家族療法では、家族をシステムとして捉えIPの「問題」にアプローチします。従来の心理療法では、クライエントが抱える「問題」に対して、個人の内面や行動にアプローチを試みてきました。
一方、家族療法では、少なくとも「問題」として捉えられている出来事は、現状の家族システムのパターンないしプロセスよって生じているものであると考えるため、システムに対するアプローチを試みます。
家族システムを理解するための枠組み
そして、「家族を1つのシステム」と考えた時に、その理解を深めるべく「システム論」に基づいたフレームワークが3つあります。
家族を1つのシステムとしてとらえるとき、家族システムを家族の『構造』、家族の『機能』、家族の『発達』という3つの属性から説明することが可能になる
(引用:家族療法テキストブックより)
家族の構造
まず、構造とは、家族の構成員のことをさします。つまり、ある家族が父・母・息子の3人から成るのであれば、それが構造ということです。
家族の機能
次に、機能とは、家族の役割やコミュニケーションパターンを意味します。例えば、先の家族で言えば、父は山へ芝刈りに、母は川へ洗濯に行き、息子は鬼退治に行くといった役割をそれぞれ有しているかもしれません。
あるいは、この家族に2人目の子供が生まれたとしたら、息子には、「兄」という役割が付与され、父母からすれば、「娘」という新たな役割が追加されることにもなりましょう。
家族の発達
文字通り、家族の発達的変化を意味します。時系列に応じた、構造を機能の変化のことです。先ほどのように、構造が父・母・息子の3人に新たな娘が生まれたとしたらそれは構造が変化しているということでもあります。
あるいは、息子と娘が自立しやがて結婚したとすれば、同様に家族構造は変化し、その家族に限って言えば、父・母、という機能は夫・妻という機能に変化すると考えられもします。
また、「発達」が、すなわち「変化」であると捉えると、この家族の変化を理解するためにサイバネティクスの考えが重要です。というのも、家族システムには、それぞれのシステムに特有の暗黙のパターンないしルールが存在するとされるからです。
仮に、家族システム内でそのパターンからの逸脱が生じた場合、それを元に戻そうとする働きとして、ネガティブフィードバックが、環境の変化や家族の発達に適応しようとする時に、システムにも変化を起こそうとする働きとしてポジティブフィードバックが起きます。
前者が形態維持で後者が形態変化と言われるのですが、この両者のバランスが取れる家族システムが健全だなのだそうです。繰り返しますが、「構造・機能・発達」という観点は、「システム論」の根幹です。「家族」に限られたことではないという意味です。なぜなら、内容は違っても、会社・学校・地域システムにも同様に、それらの項目は該当するからですね。
こうした秩序を『システムの属性』と読んでおり、いわばシステムを中から考えるための指標といえるかもしれません。
(引用: 家族療法 システムズアプローチの<ものの見方>より)
つまり、生物システム全般に当てはまるということですね。
家族システムを変化させる提案
では、以上を踏まえ、家族システムを変化させるための提案をいくつかしたいと思います。
というのも、このページを訪れた方の中には、家族がひきこもっていて困っている経験をしている方がどうやら少なからずいらっしゃることがわかってきたからです。
ひきこもりの専門団体に頼る
餅は餅屋。
ということで、ひきこもりは近年、本格的な社会問題となりつつあります。
そのことを国も重く受け止めているため、各地域にひきこもりの支援をするための専門機関を置いています。
例えば、東京都ひきこもりサポートネットなどのような機関です。
当事者ももちろんですが、そこに関わるご家族の方の相談にも乗ってくれるはずです。
イベント検索アプリの活用
続いては、イベント検索アプリを活用して、遠隔でひきこもり当事者の親が集まる自助会などや、またひきこもりの当事者には、発達障がいを抱えている場合が少なくないようです。
ですので、こくちーずとかpeatixtというアプリを使い「ひきこもり」とか「発達障害」などのように検索してみてください。
無料でそういったイベントに参加できるかもしれません。
就労移行支援を使ってみる
あるいは、発達障害があるということがわかってる場合には、就労移行支援を活用してみるのも1つの手です。
というのも、就労移行支援という場所は、障害のある人たちを対象にして就職の支援を行う専門機関だからです。
同じような境遇に置かれた人たちが集まって、就労に向けて切磋琢磨している場所ですので、刺激が得られるという意味で、一度見学や体験に行かれることをお勧めします。
こちらも基本、無料で利用できるところなので。
参考文献
最後にこのエントリーを作成するにあたり、お世話になった文献を紹介させてもらいます。