※この記事は2020年9月に更新されました。
- 「エコラリアがある子どもは、みんな自閉症なの?」
- 「じゃあ、エコラリアとただのオウム返しはどう見分ければいいの?」
- 「ひとり言が多いのは、エコラリアなの?」
- 「エコラリアだとしたら、どうすればいいの?」
この記事はそのような不安や疑問、心配をを抱えたお母さんに向けて書いています。
発達障がいないし、自閉症のお子さんを抱える全国のお母さん。
はじめまして。
心理士のやまだです。
抱えるお子様の状態は、それぞれでしょうが毎日子育てお疲れさまです。
今回は、日々子育てに向き合っているお母さんに向けて「エコラリア」についての理解を深めてもらうべく記事を書きましたので、少しでも、今後の子育ての一助となれば幸いです。
目次
結論ファースト
ということで、先ほどの心配事に対する結論を先に示しておきます。
- 「エコラリアがある子どもは、みんな自閉症なの?」⇦そうではない
- 「じゃあ、エコラリアとただのオウム返しはどう見分けるの?」⇦期間で区別しましょう
- 「ひとり言が多いのは、エコラリアなの?」⇦独り言が多い=エコラリアではない
- 「エコラリアだとしたら、どうすればいいの?」⇦専門的な支援をしてあげましょう
※応用行動分析を用いて個別支援を行なっています。興味ある方はページ末尾の「問い合わせ」をご覧ください。
というわけで、ここからは上記の結論に、肉付けしていくとしましょう。
エコラリアとは
「エコラリア」という用語を打ち込みこのページを訪れただけでも、お母さん教育熱心さが伺えますが、ここでは改めてその定義を確認しておきたいと思います。
エコラリアとは、わかりやすく言えば「オウム返し」のことです。
専門的には、次の様に定義されています。
エコラリアとは、エコ(echo)の形で産出される病的なことば(lalia)のことで、一般には「他者が話した語あるいは語群の無意味な反復」と定義される。
(引用:熊井正之・葉石光一・菅井邦明 ある自閉症児におけるコミュニケーション関係と行動調整の発達ー行動調整を促す指導法への示唆を含めてー 長崎大学紀要 第20巻第1号,20-27,1998より)
つまり
りんごを見せて
の様に、まさしくおうむ返し的な返答が「エコラリア」です。
即時性と遅延性エコラリア
エコラリアには
- 即時性エコラリア
- 遅延性エコラリア(相互作用的or非相互作用的)
の2つがあります。
ロジックツリーにすると以下の通りなのですが、ご覧の通り、遅延性は相互作用型と非相互作用の2つに分類されます。
今はとりあえずその様な種類があるのだなと思っておいてください。
即時性エコラリアは、先ほどの様に、質問をした直後にそのおうむ返しがある現象です。
遅延性エコラリアは、以前聞いたことのある「フレーズ」や「音楽」などが不適切なタイミングで繰り返される現象です。
例えば、僕は遅延性エコラリアのある小5児童に会ったことがあります。
「今日は学校でなにしたの?」
という質問に対し、この子は
「パンケーキ食べたい、パンケーキ食べたい」
と言うフレーズを繰り返すのです。
最初は、「たまたまかな?」と思い会話を続け、「ようやく会話に集中し始めたかな?」と思うと再度そのフレーズが飛び出してくるのです。
これが「遅延性エコラリア」です。
エコラリアか否かの区別は?
はい。
これで、エコラリアの全体的なイメーがはっきりしてきたのではないでしょうか。
そうすると、ここで気になるが、エコラリアか否かの判断基準だと思います。
というのも、子供が幼いほど、それがエコラリアか否かの区別が難しいからです。
そんな時は、「期間」を1つの判断基準とするのが有力だと考えられます。
自閉症におけるエコラリックな行動を普通児の言語における繰り返しから区別 するものは,それが長期間にわたって白閉症児の 言語行動の広範な部分として残るという事実である(Fay,1969)。
(引用:佐竹 真次・小林重雄,遅延エコラリアの顕著な 一自閉症児の指導に関する検討, 心身障害学研究,Bull.Spec,Educ, 12(1):57-66,1987より)
先人の知恵というのは大変ありがたいですね。
ただ、上記の論文では、「長期間」というのは具体的にどの程度なのか?という答えの記載がなかったのですがおそらく、こちらの有料論文に掲載されていることでしょう。
ちなみに、要約を読むと
Three children who were selected to represent varieties of developmental, belated and autistic echolalia were followed at bimonthly intervals for repeated assessments of echoic output and verbal comprehension.
(引用:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/0021992469900537より)
とあり、1ヶ月に2回の頻度で発達遅れの子供と自閉症児の子供のエコラリアの査定を行なっているとのことなので、ここでその具体的な回数の変化が比較されてるのでしょう。
ということで、冒頭にあった疑問にあった
「ひとり言が多いのは、エコラリアなの?」
という問いに対する答えは
『No』という事になります。
そして、
「じゃあ、エコラリアとただのオウム返しはどう見分ければいいの?」
に関しては、その「回数」ではなく、「期間」だで判断できるということが言えますね。
エコラリアだったらどうすればいいの?
するとウチの子の繰り返しは「エコラリア」だなと思う方かもいるでしょう。
その場合、次に生まれる疑問は、
「どうやって改善させればいいの?」
ということかもしれません。
それを考えるためには、「エコラリアがもつ意味」についてもう少し踏み込んでおく必要があります。
というのも、かつてエコラリアは「コミュニケーションを阻害する発話」だとネガテイブに捉えられていた様ですが、近年では、「意味のある発話」、「なんらかの機能を有する発話」だという見解が有力とされています。
近年は,エコラリアは自閉性障害児が他者に対して行うコミュニケーション手段として位置づけられ,それはほぼ一致した見解になりつつある(廣澤・田中,2004). エコラリアにコミュニケーショ ン機能があるとはつまり,エコラリアの中に発話者の意図なり意思なりが含まれているということである。
(引用:自閉症エコラリアと健常児の音声模倣における自動性と意図 ―ジャクソニズムの立場からの考察―萱村俊哉,Bull. Mukogawa Women’s Univ. Humanities and Social Sci., 60, 89-94(2012) 武庫川女子大紀要(人文・社会科学)
より)
つまり、受け手に読解力や想像力が求められるということになります。
その意味を汲み取るために。
このことを理解しているかどうかで、先ほどの疑問にも奥行きが生まれるのではないでしょうか。
「どう改善するのか?」
ではなく
「どうつきあっていくのか?」
という考えもありなわけです。
そこで、一度「改善する」という発想は、綺麗にラッピングしてとりあえずテーブルの上にそっと置いておき、エコラリアの意味をみていきましょう。
エコラリアが有する機能
では、子ども自身の発達特性を尊重し、付き合うためにはどうすればいいのかというと、その「行動の意味を理解する」ということが求められます。
そこで役立つのか、先ほど取り上げたPrizantさんとDuchanさん(1981)による遅延性エコラリアの研究です。
PrizantとDuchan(1981)は,貝口時エコラリ アがコミュニケーションにおける機能を荷なっており,それが7つの機能的カテゴリーに分類され ることを見出した。
(引用:遅延エコラリアの顕著な 一自閉症児の指導に関する検討,佐竹 真次・小林重雄,心身障害学研究 Bu11.Spec.Educ. 12(1):57-66.198より)
これを整理するとこんな感じでしょうか。
遅延性エコラリアには、これだけ意味があるので、上記の1番上「相互作用的」な意味を有する、「やりとり」について触れておきますね。
「やりとり」というのは、会話的な機能を有することを意味します。
ですから、一種の「要求」でもありますね。
あるお母さんは次の様に捉えていた様です。
〈意味はなんでしょう?〉自分の言ってほしいことを言っても らうために言っているだけという気もするので,遊び的な感覚という気がします。
(引用:自閉性障害児の非慣用的言語行動に関する保護者の理解,廣澤 満之,
目白大学 人文学研究 第9号 2013 年 245 − 259より)
その瞬間だけを切り取って考えるとわからないことが多いと考えられるので、とにかく、色々言葉がけをして、その意味を見出していくということが大事です。
ただ、それも楽な作業ではありません。
その負担を少しでも軽くするために、心理学には機能分析という手法があります。
是非参考にしてください。
したがって、「エコラリア」をこの様に、「コミュニケーション」の一種と捉え、
子どもと関わっていくという姿勢がまずは重要だと考えられます。
しかし、現実問題それだけではよろしくないことも・・・
はい、ありますよね。
そういうことも。
なぜなら、「エコラリア」の意味を理解している人たちが常に周りにいるわけではありません。
その上、お母さんとお子さんの2人しかいないときに、「エコラリア」されると周りの目もきになりますね。
先ほどの文献でも以下について触れられています。
保護者は、「年齢が上がってくると、今言う場面じゃないと、 後でしようねとか、今はしませんとか、そういうことを言うようにしました。」と述べているよ うに、生活年齢と保護者の対応に関連があることについて言及していた
(引用:自閉性障害児の非慣用的言語行動に関する保護者の理解,廣澤 満之,
目白大学 人文学研究 第9号 2013 年 245 − 259より)
ただし、ある程度の年齢になってから、それを代替させようとしてもそれは困難であるため、そのことをよく考えるべきでしょう・・・
エコラリアの改善を検討するなら
そこで、子どもが幼いうちに「エコラリア」の改善を検討するなら、
ABAという手法があります。
ABA(応用行動分析)は、人間に共通する行動原理に基づき、自閉症などの発達障がいを持つ子どもたち問題行動を減らし、適切な行動を増やすアプローチです。
僕は、このABAを使って、普段、発達障がいと言われる児童の支援をしています。
ただ、先ほども述べたとおり、「エコラリアを受け入れ、見守る」というのも1つの方法です。
なので、お母さんご自身の負担もよく考えて、「子どもとご自身お未来を思い描く」ことが大事だと僕は思ってます。
「どんな風に育って欲しいのか」
「どんな関係でありたいのか」
その考えが押し付けになっていないかどうかも大事ですが、それと同じくらい自分のこともお考えください。
※エコラリアの具体的な改善方法が知りたい方はこちら
ABAを使った働きかけをしてみませんか?
僕は応用行動分析を用いて児童支援をやってたりしますが、個人的に訪問サービスも行なっています。
ですので、この記事を見てるお母様で、以下のような悩みがある方はぜひご相談ください。
・子供が発達障害であることを周りに知られたくない
・誰に何を相談したらいいかわからない
・子供を支援施設に連れて行く余裕がない
・もしかしたら、うちの子発達障害かもしれない(グレーゾーン)
そういった方向けに直接訪問or場所を借りて支援を行います
※ただし、東京・埼玉・神奈川・千葉の方に限ります。
ご連絡は下記のアドレスorアンケートフォームよりお願いします。
(初回聞き取りおよび見立ては無料です)
見立ては、お会いした際に、検査をするので、それによって判断していただけます。
訪問サービスは、ハードルが高い
また、「いきなり訪問サービスを利用するのは、ハードルが高い」
という方もいらっしゃると思います。そういった方はまず、ご自身でABAを学んでみるのはいかがでしょうか?そんな方のために、定額制のABAペアレントトレーニングビデオをご用意しました。
- 月額1000円で動画が見放題
- 毎月1日に、新着動画を更新
- 初回7日間の、無料体験期間あり
- わからない箇所があれば、いくらでも質問可能
- 開始2週間以内であれば、返金可能
決済ページは↓↓こちらから