こんにちは。
以前、「因子寄与」についてまとめましたが、その続編で今回は「因子寄与率」についてまとめておきます。
- 大学院の研究で因子分析を使うつもりだ
- 論文に書いてある因子寄与率の意味がよくわからない
- なぜ、因子寄与率を記載する必要性がよくわからない
という方には役立つ記事になっています。
因子寄与率とは何か?
因子寄与率とは、「ある因子の全体への影響力を%で表した値」だと言えます。
以下は僕が架空のデータとして作成したものを、論文に掲載するつもりで加工したものなので、まずは、「因子寄与率」がどの値のことを言っているのか確認してください。
つまり・・・
- 因子Ⅰの寄与率・・・28.2%
- 因子Ⅱの寄与率・・・25.0%
- 全因子の寄与率合計・・・53.3%
ということになりますね。
因子寄与率を読み取る際の特徴
このように、因子寄与率は「ある因子の全体への影響力を表したパーセンテージ」 なので、「%」で表記されます。
従って、因子寄与率を読み取る時の特徴として、以下のポイントをおさえておきましょう。
- 因子寄与率の合計の上限は「100%」である
- 因子寄与率の合計は必ずしも「100%」になるわけではない
- 因子寄与率の合計の100%に満たない部分は、因子では説明できない領域ということ
おわかりいただけるでしょうか?
今回の具体例をイメージ化すると↓↓こんな感じです。
ですから、この因子寄与率を結果に記載することは、尺度全体をそれらの因子によってどれだけ説明できるのかを分かりやすく示すという意味があるわけです。ええ。
因子寄与と因子寄与率の違い
おそらく、「因子寄与」についてよく理解している方は、因子寄与率が、「ある因子の全体への影響力を%で表した値」という説明を聞いて、違和感を持ったのではないでしょうか?
なぜなら、役割として「因子寄与率」と「因子寄与」と同じだからです。では、なぜわざわざ寄与率も記載するのかというと、「寄与率の方がわかりやすい」からだと言えます。
というのも、因子寄与の場合「上限の値」が因子の数によって変動します。因子の数が「7つ」あれば、寄与の合計の上限は「7」だし、「因子の数が「16」であれば、寄与の合計の上限は「16」です。
それは、分析した側にとっては当たり前に把握していることですが、結果を読みとる側からすると、直感的にはわかりづらいわけです。
しかし、寄与率であれば、因子の数がいくつであろうと、「上限は100%」と決まってるわけですから、読み取りがしやすいのです。
そういうわけで、因子寄与率は因子寄与とセットで掲載されるわけなのですね。
このように因子寄与によって、どの因子がどの程度寄与しているかがわかるわけですが、質問項目の数に左右されるので、わかりにくいところがあります。質問項目の数が多くなれば、因子寄与は大きくなりますし、少なくなれば因子寄与は小さくなります。そこで割合で算出することがあります。それが因子寄与率といわれるものです。寄与率は、理論上の最大値(この場合16)で因子寄与を割って、パーセントで表現します。
(引用:誰も教えてくれなかった因子分析,p20より)
まとめ
では、最後にこの記事の要点をまとめておわかれです。
- 因子寄与率とは「ある因子の全体への影響力を%で表した値」である
- 因子寄与率の合計は100%である
- 因子寄与率の100%に満たないのは、それらの因子では説明できない領域があることを意味する
- 因子寄与率は、因子寄与を分かりやすく百分率で表記した値である
それではまた。
参考書
①誰も教えてくれなかった因子分析