はじめまして。心理士のやまだです。
普段は、心療内科や就労移行支援などで認知行動療法やその心理教育をしています。
というわけで、このエントリーでは認知行動療法シリーズということで「認知再構成法」について掘り下げていきたいとおもいます。
ちなみに、認知再構成法は⬇︎こんな考え方をしてしまいがちな人に向いています。
認知行動療法との違い
それでは、まず最初に「認知行動療法」と「認知再構成法」の違いについて触れておきます。なぜかというと、この疑問は僕自身も抱えていたもので、認知行動療法を学ぼうとする方にはあるあるだからです。
結論をいうと、「認知再構成法」は、「認知行動療法」の中でもちいられる「技法の1つ」という言い方がより適切でしょう。
というのも、認知行動療法には、「マインドフルネス」とか「行動活性化」とか「アサーション」とか「問題解決技法」とか、認知行動療法を受けるクライエントさんによって用いられる技法がたくさんあります。その中の1つとして、「認知再構成法」があるということなんですね。
認知再構成法とは
さて、認知再構成法の「全体」における位置付けがわかったところで、その詳細について触れていくことにします。認知再構成法とは、不適応な心の声(考えのクセ)を、適応的かつ現実的なものへと促していく技法のことをいいます。つまり、「認知にはたらきかける」というのが認知再構成法の売りなわけです。
認知再構成法をとり入れるタイミング
では、「認知再構成法」はどういうタイミングで使えばいいのでしょうか?
これは、「情報収集ができるようになった後」です。
それを理解するために、まず「認知行動療法」を導入した時の流れを考えてみましょう。
ざっくりですが、以下の6ステップに区分することができます。
- 悩みが生じる
- 気力が低下する
- 悩みに向き合う準備をする
- 悩みに向き合うために情報収集をする
- 情報を検討する
- 実際に悩みへ対処する
そして、認知再構成法は「ステップ5」で用いられます。
つまり、「情報を検討する」という場面なのですが、ここは細かく分類すると、「認知」と「行動」どちらを取り扱うかという検討も含まれます。なので、「自分の考え方はなんだか極端だな」と思われるときに「認知再構成法」を導入するわけです。
で、そのためには「検討する材料」が必要になるわけですが、その時に用いられるのがみなさんおなじみ(たぶん)下図のアセスメントシートですね。
このアセスメントシートも実際にやると書き方を理解するのにも
- アセスメントシートの書き方を理解する
- 実際に書いてきてもらう
- 認知と感情の関連性を理解してもらう
- 情報収集の量を増やしてきてもらう
これができたら、いよいよ認知再構成法に取り組むことになります。
認知再構成法で用いられる7コラム
情報収集ができたら、ここから実践的な話に入りますが流れとしては以下のような手続きに沿って行われます。
- 情報収集したできごとの中から1つ取り上げる
- その出来事に対する自動思考と出来事も記入する
- 自動思考を「指示するための事実」を書き出す
- 自動思考に「反論するための事実」を書き出す
- 上記の3.4を統合して「考え方がどう変化するか」を検証する
- 「考え方の変化」に伴って「感情の変化」も検証する
⬇︎こちらがその具体例です。
認知再構成法のポイントは、「反証」です
最後に、認知再構成法において、うまく考え方が変化するためのポイントをご紹介します。
それはしっかりと「反証する」ことです。
具体例をみてみましょう。
※認知再構成法のポイントは「反証」すること
(例)
A「話しかけたら迷惑かもしれない」
B「相手がそう言ってた?」
A「いや」
B「自分だったら迷惑?」
A「時と場合によるかな」
B「迷惑じゃない時ってどんな時?」
A「退屈してる時とか」
B「相手も同じかも」
A「確かに・・」⬆️これを脳内でやる
— 「認知行動療法×就労移行支援」をテーマにつぶやいてます (@Ryo_lifehack) March 5, 2022
僕の言いたいことは伝わったでしょうか?
つまり、「話しかけたら迷惑」というのは、相手に確認してもいないのに、わかるわけがないのです。にもかかわらず、「迷惑かもしれない」と思うのであれば、もしかしたらAさんには人と関わる際にそういう風に考えるクセがあるのかもしれません。
そこで、Bさんは「相手がそう言ってた?」のように、Aさんが「話しかけたら迷惑」と考えるに値する根拠を探しています。これが「反証」するということです。
続いて、Aさんは、「自分だったら迷惑?」という質問をして、Bさんから「時と場合によるかな」のように、場面に応じて実は違いがあるのだという認識を引き出しています。
それによって、「話しかけたら迷惑かもしれない」というBさんの考えが「全か無の思考」であったことがわかります。
ですから、このように「反証」がうまくできると、少しずつですが、考え方が柔らかくなり、結果、気持ちにも変化が生まれます。
これを一人でやるのが認知再構成法というわけです。
とはいえ、自分一人でこれをやるというのは結構大変なので、カウンセリングに頼ってみたり、心理士のいる就労移行支援とかだとプログラムに認知行動療法があったりするので、そういったところを頼ってみるのも1つの手だと思います。
それではまた。