認知行動療法について概論的な説明を残しておきます。歴史的なこと(第一世代の認知行動療法〜第三世代の認知行動療法への移り変わりについて)も書いたので、全体像の理解にお役立てください。
目次
認知行動療法とは
認知行動療法とは、人間が「刺激⇨行動(認知)⇨結果」といった一連の流れに沿って生活していることを前提に、認知や行動にアプローチしていく心理療法をのことです。
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第三世代の認知行動療法
現在の認知行動療法は1990年代頃に登場した、新しい認知行動療法の流れを指し、第三世代の認知行動療法に当たるものです。
例えば、マインドフルネス、アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)、弁証法的認知療法、メタ認知療法などは第三世代の認知行動療法を代表するアプローチでしょう。
特に、マインドフルネスとアクセプタンスを重視することが全体の共通点である。
マインドフルネスとは、心の動きへの気づきを意味し、
アクセプタンスは、”今ここ”の心の動きを判断を介せず受け取ることであり、人間性心理学の考えや東洋的思想にも反映されています。
そして、第三世代CBTの特徴は以下の2点です。
- 認知を行動と同様に従属変数として扱う
- 認知の機能に注目している(認知と環境の相互作用)
第一世代 行動療法
1950年代の学習理論による行動療法が第一世代にあたります。
なので、「第三世代の認知行動療法」みたいな言い方をしてるから、「じゃあ、第一世代の認知行動療法はどんな?」という「第一世代も当然認知行動療法」であるかのような疑問が生まれますが、「第一世代」は「ただの行動療法」なんですね。
第一世代の特徴は
がその基礎にあることです。ですから、第一世代のアセスメントは機能分析が中心となります。で、第一世代の代表技法には、行動活性化法があります。
第一世代の欠点
では、この第一世代の行動療法はどのように第二世代へと移り変わっていったのでしょうか?
それを考えるためには、行動療法の欠点を考えてみる必要があります。
うつ病や不安障害などのクライエントへの介入が困難だった
その主たる理由がこれですね。行動へのアプローチだけでは「うつ病」や「不安障害」などクライエントに対して十分な援助をすることができなかったことがあげられるでしょう。
そのような患者は確かに「行動」の面において問題となるような部分があったのでしょうが、それだけでは説明がつかない「認知の歪み」があったからだとされています。
そこで、バンデューラの社会学習理論が台頭し、刺激に対する個人の”解釈”が重視されるようになったのです。
その結果、刺激と反応の媒介要因として、直接観察することができない”認知”を取り入れることで、第二世代へと繋がっていくことになります。
第二世代 行動療法と認知療法のいいとこ取り
というわけで、1970年代の認知療法と行動療法のいいとこ取りしたのが第二世代です。
そのため、第二世代には
- 認知変数を独立変数として扱う(コントロールできると考える)
- 行動変数は従属変数として扱う
- アセスメント認知療法的な立場と行動療法てきな立場の両方から行われる
といった特徴があります。
すなわち、認知療法的な立場では、ベックやエリスによって提唱された、抑うつの原因が、否定的な認知であり、それが悩みに繋がるという、ABC理論に依拠するものであった。第一世代にはなかった”認知”を強調するものだった。
一方、第二世代では行動療法的な立場からもクライエントを捉えようとするため、当然ながら、第一世代の応用行動分析的な視点が維持されていた。
そのため、第一世代の行動療法的な技法に加え、第二世代の認知療法的な技法には、認知再構成法や、合理情動行動療法(REBT)などがあげられます。
第二世代の問題点
では、第二世代が第三世代へと移り変わっていった理由はなんだったのでしょうか?
これには
- 科学的根拠の欠如
- 認知療法と行動療法のがそれぞれ独立している
以上2つの問題点が主要なものとしてあげられましょう。
①はともかく、②は目の前にいる患者に対しては、どのアセスメントをすればいいの?という問題が生じたということですね。それは効率の悪さに繋がります。なぜなら、認知療法的な立場から取り組めばいいのか、行動療法的な立場から取り組めばいいのか、試してみないとわからないからです。結果オーライの世界です。
それは、こちらとしてはよくても、クライエント側からすればたまったものじゃありません。お金も時間もかかりますし。
そのため、認知と行動を共に従属変数と捉え、その機能や文脈に注目するようになったのが、第三世代の行動療法というわけです。
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