暴力映像と攻撃行動の関連性についてまとめました。
攻撃行動
攻撃行動とは、他者に身体的・精神的な危害を加えること。
攻撃衝動は、生体の持つ基本的な本能であるため、それを何らかの形で解消することは人間の生命活動として必要である。その方法の一つに、暴力的映像を視聴することがある。暴力的な映画やテレビを見たり、暴力行為を身近に体験したりすることが、攻撃への衝動を発散させるカタルシスとなるからだ。カタルシス(浄化)とは、精神分析の用語で、抑圧されていた感情を表現することにより、不安や緊張が解消されること。要は、ストレス発散みたいなものだろう。
子供の場合
しかし、この映像を見るという行為が大人の場合と子供の場合では異なる。
心理学者のバンデューラは、観察学習理論において、大人が乱暴してる場面を観察したり、暴力映像を見たりすると、子供の暴力行動は増加すると唱えた。
根拠① Smithの追跡研究
この根拠となる調査をSmithがアメリカで実施している。
8-9齢の子供、800人以上に暴力テレビを見る習慣を調査し、10年経ったときの攻撃性を調べた。すると、暴力テレビを見る習慣と10年後の攻撃性との間には密接な相関があったという
根拠②Green&Thomasの実験研究と相関調査研究
これまでの実験研究と相関調査研究からは、暴力場面によって視聴者の身体的・言語的攻撃性が増大する傾向にあるとされている。これは、暴力の目撃によって、一時的に情動と覚醒状態が変化するためと考えられている。
根拠③ Eron&Huesmannの縦断研究
男性でのみ8歳時の暴力番組への視聴経験が、10年後の自己・他者評価に夜攻撃性や犯罪と関連していた。さらに22年後、男性が30歳になった時の追跡調査でも、8歳時の暴力番組への嗜好と視聴時間は犯罪と関連が見出されてる。
結論
根拠は複数あるようだが、暴力番組の試聴だけで攻撃性の増大に繋がるとは未だに断言できないようだ。しかしながら、元来攻撃的な子供は暴力番組を好み、その試聴経験によって攻撃行動を一段と増大させる傾向があると言われている。