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事例性と疾病性とは

事例性と疾病性

事例性と疾病性という概念をまとめておきました。

ざっくりお伝えるすると、事例性とは、臨床心理学よりの概念で、疾病性は、精神医学よりの概念だと言える。故に、事例性は、臨床心理士が行うアセスメントにおいて重視され、疾病性は精神科医が行う診断において重視される。これが大まかな全体像だ。

そして、臨床心理学的なアセスメントも、精神医学的な診断も、クライエントに対して提供する支援活動の全体として、個人の特徴を捉えることを目的とする点において共通する。しかし、臨床心理士と医師はその職域が異なり、担うべき役割も異なるので、本質的には異なっている。

以上を踏まえ、それぞれの概念をもう少し掘り下げていく。

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事例性とは

 事例性とはクライエントの生活的側面に目を向ける視点のことである。そして、臨床心理士が行うアセスメントは、この事例性を重視して行われる。心理士は、クライエントが経験している不適応の問題を明らかにし、治療仮説・治療計画を明らかにすることが求められるが、この時に重要なのは、クライエントが”どのような病気を抱えているか”ではなく、”どのような生活上の困難を抱えているか”である。つまり、臨床心理学的支援は、基本的に事例性を重視する営みであるということになる。

具体例

例えば、統合失調症で休職した会社員のクライエントを想定すると、本人や家族はその状態をどのように考えているのか、同じ職場に戻ることは得策なのか、職場や家庭の支援はあるのか、などといった、個人の社会生活に注目するのが事例性に該当する。

疾病性とは

疾病性とは、見立てに置いてクライエントの病的側面に目を向ける視点であり、医師による診断においては、この疾病性が重視される。診断は、個人の病的な側面に注目して、DSMなどの診断基準に則って病名や診断名を付与することを目指す。これは、病気や障害を特定し、投薬などの精神医学的な治療を施すために必要な活動だといえる。

具体例

事例性と同様に、統合失調症で休職した会社員のクライエントを考えてみると、そこで、不眠、抑うつ、気力の減退、偏った認知など、症状に着目して統合失調症などの兆候を見いだすのが疾病性。

事例性と疾病性を踏まえた支援

事例性に注目すると、その後の支援として、本人のカウンセリングを通じた心理支援のほか、家族への支援、職場との関係調整など、生活全般を見据えた上での援助活動が考えられる。ただ、疾病性を見逃して精神医学的な治療の機会を逸することは望ましくないので、医師との連携のもと病気の治療を目指すことも重要である。もちろん、疾病性だけに偏ってしまえば、そのクライエントに固有の心理的、社会的側面を見失う。心理臨床は事例性を基礎としつつ、疾病性も考慮することで、適切な支援に繋がる。

その上で、心理士の業務は、生活に不適応を抱えるクライエントに対して心理学的な再適応の支援を提供することである。そのために、疾病や障害を理解することは重要であるが、それらはクライエントの生活の一部であり、全てではない。

心理士はそれよりも、病気になった経緯、発病に伴う生活の変化、クライエントを取り巻く社会的支援など、幅広い視野を持って生活を俯瞰し、そこにある心理学的な問題を探し出し、治療仮説・治療計画を立てる。そのためには、臨床心理士は、生物心理社会モデルに沿って、生物学的・心理学的・社会学的な側面から、クライエントを多角的にアセスメントすることが求められると言える。

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