あなたが性格を変えたいと言うのなら、方法論の前にその意味を理解するべき

性格を化学する

このエントリーは、下記書籍の要約と僕の考察になります。性格を変えたいと思う人はたくさんいると思いますが、そのためには、まず性格を理解するところから始めなければならない。”性格は変わるのか?”と言う疑問についても小塩氏は化学的研究を元に結論を出しているので、性格を変えたいと言うのなら、まずは”性格”という概念を多角的に捉えるところから初めて欲しい。

小塩氏は、”血液型”を切り口として、心理学研究を根拠としながら、性格に対する自身の見解を述べていくのだが、血液型から性格を判断する物の見方が、僕たちの人間関係にも影響を与えてるのだと言うことを教えてくれている。

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暗黙の知能感

それが、”暗黙の知能感”という考え方である。暗黙の知能観とは自分の能力についてどのような考えを持っているかということを意味し、大きく分けて2種類のものがある。一つは、固定的知能観と呼ばれる。これは自分の能力は生まれ持ったものであり努力してもそんなに変わらないと信じること。もう一つは、増加的知能観と呼ばれる。これは自分の能力が努力次第で伸びていくと信じること。

このような知能感の考え方は、対人関係についても反映される可能性がある。例えば、対人関係を、増加的知能観的に捉える人は、自分や相手との関係性そのものも努力次第で変化させていけると信じる傾向にある。一方で、対人関係を固定的知能観でとらえる人は、理想の相手は出会った瞬間から息が合い、それがずっと続いていくと信じる傾向にあるのだと。

そう主張する根拠に次の様な実験がある。

ある心理学者たちは、子供たちを対象にして褒め方について次のような実験を行った。Aグループの子供達は「よくできたね頭がいいね」と彼らの能力を褒める。Bグループの子供たちには、「よくできたね頑張ったね」と努力を褒めるようにする。たったこれだけの声のかけ方の違いを与えただけなのに、能力を褒めた子供たち(Aグループ)は新しくてより難しい問題を避けるようになった。その一方で、努力を褒めた子供たち(Bグループ)の多くは新たな問題にチャレンジしていった。

性格と行動を別のものと考える

小塩氏は、行動の集合体が”性格”であるという様な捉え方ではなく、”行動”は、行動が生じている状況と個人が持つシステムとしての性格が影響した結果として生じたものであるという考え方を前提に主張を進める。極端に表現するならば、行動=状況+性格ということだろうか。

なぜなら、本当は明るい人でも落ち込んで明るい行動をとることができない事もあるし、本当は明るくないのに無理に明るく振る舞うことも、嬉しい出来事があって明るい行動を見せることもある。だから性格と行動別のものと考える必要があるのだと。

性格をわける”類型論”と”特性論”

性格類型論と特性論については、詳細を別ページに譲るので、リンク先を参照してほしい。

性格は変わるのか?

小塩氏は、性格について次のようにも述べている。「一般的には、よく三つ子の魂百までなどと言われ、3歳までに性格が決まってしまうと信じている人も多い。ところが、研究で示されている数値を見ると性格は一般に信じられてる以上に変動しやすいと言える

それを示すのが、次の実験。

発達を研究している心理学者カスピは、ニュージーランドのある街で行われた大規模な調査を分析した。この研究では1000人以上もの3歳児にを実施し、追跡調査が行っている。3歳児に調査を行ったのは、1972年から1973年にかけてで、その子たちが5歳、7歳、9歳、11歳、13歳、15歳、18歳、21歳になった時点で実施している。

その研究から、カスピは、3歳時点における”三つの行動の特徴”に注目した

一つ目は、適当に自信を持ち、必要な時には自己統制が取れ、新たな人物や状況に直面しても順応するタイプ。二つ目は、衝動的で落ち着きがなく反抗的で気が散り易い統制不十分なタイプ。三つ目は、感情を表に出さず、知らない人を前にすると、取り乱しがちな抑制的なタイプ。

特に3歳の段階で調整不十分なタイプと抑制的なタイプであった子供たちは、18才段階の性格をある程度予測していた。つまり、3歳で調整不十分なタイプと分類された子供達は、18歳の段階でより自己統制が低く損害回避傾向が低く、攻撃性を疎外感が高い傾向にあった。その一方で、3歳で抑制的なタイプと分類された子供達は、18歳の段階で自己統制や損害回避傾向、攻撃性や社会的勢力が低い傾向にあった。さらに3歳の段階で統制不十分なタイプと抑制的なタイプであった子供達は、よく順応するタイプの子供達よりも12歳の段階での対人関係上の問題を、より多く報告する傾向にあり、うつ病やアルコール依存など不適応状態に落ちる確率が高かったことが報告されている。

この研究をよく読むと、「え?性格ってやっぱり変わらないのでは?」と思うかもしれないが、小塩氏は「確かに一貫性はあるけど、必ずしも全員に当てはまってる訳ではない。だから、性格は変わらないという根拠にはならないだろう」と主張しているわけだ。

性格の”良し悪し”は、その文脈によって決まる

以上の様な見解を述べ、小塩氏は最後に、”性格”を”体重”という概念に置き換えて大切なことを教えてくれている。

例えば、力士にとって”体重”が重いことは、勝つために一つの大きな条件です。また、テレビに登場するタレントにとって、太っていることはテレビ番組の中である子の特別な地位を占めるキャラクターとなります。ですから、太った体型を売りにするタレントにとっては重要な意味を持ちます。

つまり、ここでのメッセージは、どのような場面で何を目的とするかによって、物事の良し悪しは変わるのだということ。そして、その考え方は、性格にも当てはまるのだと。

学生が授業中に書いた感想文などを見ていると、自分は暗いから明るくなりたい。内向的なので外交的になりたい。などと返ってくるものがあります。明るく外交的であることは、学生の皆さんが生活をしている狭い世界においては、よい特徴なのかもしれない。しかし、それはその環境において良いのであって、別の判断がなされる環境もあり得るのだと思うことができれば、無理に自分の性格を変えたいと思わなくなるかもしれない。

小塩氏はこの考え方を、”適材適所”だとし、自分の性格を変えることだけに固執するのではなく自分がいて楽に思える場所に置くことを視野に入れることの重要性を述べている。ここでも性格と環境のどちらを変えるか片方だけを考えるのではなく両方の可能性を考えることが重要であると。

まとめ

小塩氏の言いたいことを凝縮すると、ざっくりこんなことだと思われる。

”人間生きてると自分の性格に悩むこともそりゃありますよね。だけど、そんな時に”性格変わらないからしょうがない”なんて思っていませんか?そういう風に思っている人多いけど、実はそんなことないし、そういう考え方は、生き方に影響するから注意してね。それにさ、性格の良し悪しなんてその文脈によって決まるんだから、自分が生きやすい場所を探すことも検討するといいよ。そのために、まずはビッグ5っていう物差しがあるからさ、それでまずは自分の性格を知ることから始めてみるといいかもね。結果を解釈する時は、自分の行動=性格の集合という視点で自身を評価するのはやめてくださいね。だって、行動ってのは、性格と状況の組み合わせによって生じるからね。”

考察

これは一般的な個人についての話になるが、”性格を知る”ということは、”他者との違いを知る”ということでもある。ここに、僕が作成した、日常で他者や自己の性格を数値化するためのスプレッドシートがある。(ビッグ5の下位特性を書き出したもの)

やってみるとわかるのだが、誰かの得点をつけるために、それ以外の他者ないし自分を比較しなければならない。そうすると、やり始めは、家族や仕事で身近な人、よく会う友達がリストアップされる。しかし、その限られた人物だけだと、得点をつけることが困難であることに気づき、過去に自分が関わった人物も探すことになる。そのため、苦手な人や、嫌いな人がリストに上がってきたりする。そんな作業を繰り返していると、自分の苦手な人や好きな人の傾向が類型的ではなく、特性的に、すなわち、嫌いな人の中での細かい違いなどがわかってくるようになる。それが、性格を知るということは、他者との違いを知ることと言った意味でもある。

では、なぜ他者との違いを知る必要があるのかといえば、ざっくり言えば上手く生き抜くためだろう。そういう意味で、性格は”人生をマネジメントすためのツール”になり得るものだ。上記の様に作ったデータベースを元に、人との関わり方を見直してみるわけだ。

例えば、プライベートでの付き合いなら、連絡を途絶えれば解決することもあるかもしれない。しかし、仕事や身内関係だとそうはいかない。そんな時に、「勤勉性が高いこいつには、昔いたAさんと同じように接してみたらうまく行くかもしれない」とか、「全体的には似つかわしくないけど、開放性の得点が同じBくんと同じアプローチをしたら有効なんてことないよな?」のような仮説を立てて接することができる。

あるいは、自分が人にコントロールされる立場ならば、適材適所を実施してもらうためにも、自分の特性や自分の周囲の人間特性を人に伝える必要がある。そういう時には、類型論的に説明をすることが良いだろう。最近では、新たな研究により、ビッグ5の得点表をベースにしたクラスタ分けの研究も発表されているし、自分の経験に基づいて、個人間の共通点を抽出し、概念化していくのもいいだろう。

この様に、適切な環境にありつくにせよ、対人関係の武器を手にするにせよ、性格分類が頭の中にイメージできてることは必ず必要なので、その精度を上げるためにも、是非、特性論と類型論を上手く使い分けてみて欲しい。

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